電気・電子設計は製品の回路を生み出す仕事——向いている人・向いていない人と未経験からのなり方
公開: 2026-08-12/更新: 2026-08-21・運営・編集: オルグロー株式会社
この記事の要点
- 電気・電子設計は製品の「頭脳」にあたる回路や基板を設計する仕事で、家電から産業機器まであらゆる製品に必要とされます。
- 仕組みを順序立てて考えるのが好きな人に向き、目に見えない電気の理屈を学び続けるのが負担な人には向きにくい職種です。
- 未経験からは評価・測定や設計補助の業務から入り、第二種電気工事士や電子工作の実績で意欲を示すのが現実的です。
電気・電子設計とはどんな仕事?
電気・電子設計とは、製品を動かす回路や基板を設計する仕事です。家電から産業機器まで、あらゆる製品の「頭脳」にあたる部分を作る、専門性の高い技術職です。
電気・電子設計の仕事内容は?
| 回路設計 | 製品の機能を実現する電子回路の方式を考え、電圧や消費電力などの動作条件を検討しながら回路図として具体化する |
|---|---|
| 基板設計・部品選定 | 回路を基板のパターンに落とし込み、ノイズや発熱に配慮しながら、コスト・入手性・供給の安定性を見比べて部品を選ぶ |
| 評価・デバッグ | 試作基板をオシロスコープ等の測定器で検証し、温度や電圧を振った条件でも動くかを確かめ、不具合の原因を波形から突き止める |
| 制御盤・配線設計 | 産業機器の電気配線図や制御盤のレイアウトを設計・修正し、部品の配置や端子の並びまで現場で施工しやすい図面に仕上げる |
| 仕様書・設計資料の作成 | 製造や後工程に渡す回路図・部品表・検査基準などの資料を、担当者が変わっても同じ手順で作れる形にそろえて残す |
| 機構・ソフト担当との調整 | 基板の搭載スペース・放熱・コネクタの位置・制御の仕様について、他分野の設計者と条件をすり合わせる |
電気・電子設計の1日の流れは?
| 9:00 | 出社。メールを確認し、評価中の基板について今日測る項目と順番を決める |
|---|---|
| 9:30 | 試作基板の評価。オシロスコープで波形を測定し、設計どおり動くかを検証 |
| 11:00 | 想定と違う波形の原因を調査。回路図と基板を見比べて仮説を立てる |
| 12:00 | 昼休憩。午後の打ち合わせ資料に軽く目を通す |
| 13:00 | 機構設計・ソフト担当との定例会議。基板サイズや制御仕様のすり合わせ |
| 14:30 | 回路図の修正と部品選定。コストと入手性を調べながら代替部品を検討 |
| 15:30 | 基板の配線パターンを確認。ノイズを拾いやすい経路がないかを先輩と点検 |
| 16:00 | 部品メーカーへ技術的な問い合わせ。仕様書の不明点を確認 |
| 16:30 | 評価結果を報告書にまとめ、次の試作へ持ち越す課題とあわせて共有 |
| 17:45 | 翌日の測定に使う治具と測定器の準備をして退社 |
※職場によって差があります。よくある1日のイメージです。
電気・電子設計に向いている人・向いていない人は?
向いている人
- 家電やガジェットの中身・仕組みが昔から気になるタイプ(「なぜ動くのか」への好奇心が回路を学び続ける原動力になり、製品を分解して眺めた経験は部品の役割を覚える下地になるからです)
- 電気工事や設備保全など、電気に触れてきた現場経験を専門職に活かしたい(実物の配線や盤を知る経験は机上の設計で意外なほど効き、施工しやすさを織り込んだ図面が描けるからです)
- 機器トラブルの原因を順序立てて切り分けるのが得意(評価・デバッグは仮説と検証を繰り返す論理的な切り分けの連続で、可能性を一つずつ消していける人ほど早く原因にたどり着けるからです)
向いていない可能性がある人
- 目に見えない電気の理屈を学び続けるのは負担に感じる(回路の挙動は測定器を通してしか見えず、理論の裏付けが常に必要で、経験だけで判断できる場面が少ないからです)
- 一人で完結する仕事がいい(機構設計やソフト担当との連携が多く、基板一枚の仕様を決めるにも複数部門の合意と、他分野の都合に合わせた設計のやり直しが必要だからです)
- 地道な測定・検証の繰り返しよりも、すぐに形になる作業のほうが好き(一つの不具合の解明に数日かけることも珍しくなく、再現しない不具合を追う期間もあるためです)
理屈の学習が不安でも、評価・測定の実務から入れば「動きを見て学ぶ」形で知識を積み上げられます。波形という目に見える手がかりがあるため、教科書だけで学ぶよりずっと頭に入りやすいという声も多くあります。電子工作キットで手を動かす学び方も有効で、座学が苦手だからといって諦める必要はありません。地道さについても、原因を突き止めた瞬間の手応えが次の検証への燃料になります。なお、評価から設計へ進むまでの期間は会社によって差が大きく、少人数で製品を回している職場ほど早い段階から回路図を任される傾向があります。入口の職種名だけでなく、そこから先の担当の広げ方まで面接で聞いておくと、時間の使い方を見通しやすくなります。試して確かめるのが好きなら適性はあります。
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電気・電子設計と施工管理(電気・設備)の違いは?
| 電気・電子設計 | 施工管理(電気・設備) | |
|---|---|---|
| 仕事の場所 | オフィスや実験室での机上設計・評価が中心 | 建設現場に出ての工事の管理・調整が中心 |
| 扱う対象 | 製品に載る回路・基板・制御盤 | 建物に据え付ける電気設備工事の品質・工程 |
| 求められる力 | 回路の知識と粘り強い検証力 | 職人・施主との調整力と先を読む段取り力 |
| 働き方の傾向 | 開発日程に沿って腰を据えて進める型 | 現場の進捗と天候に合わせて動く現場型 |
未経験からのルートは?前職別の入り方
電気工事・設備施工から
配線や盤を実物で扱ってきた経験は「電気の実物を知っている」強みとして設計側で評価されます。制御盤設計や配線図の修正業務は現場出身者の受け皿になりやすい入口です。最初の壁は図面を「読む」から「描く」への転換と電気CADの操作ですが、施工しやすい図面がわかる強みは描く側に回ってこそ活きるため、乗り越える価値のある壁です。手がけた盤の規模や扱った電圧の範囲を職務経歴書に書き添えると、任せられる仕事の見当がつきやすくなります。
設備保全・メンテナンスから
故障の切り分けで培った「原因を順序立てて特定する力」は、評価・デバッグ業務でそのまま通用します。最初の壁は回路理論の裏付けが求められる場面ですが、実物の挙動を先に知っているぶん理屈の吸収は速い傾向があります。テスターやオシロスコープなど測定器を使った経験は具体的に職務経歴書へ書き、評価職からの二段階を狙うのが現実的です。再現しにくい不具合をどう追い込んだかというエピソードは、評価職の面接で最も伝わる材料になります。
製造ライン・検査から
基板や電子部品を扱う工場の経験者は、製品知識と品質意識が入口の武器になります。はんだ付けや検査基準の理解は評価・テスト職で即座に活きる実務スキルです。最初の壁は回路図が読めないことですが、第二種電気工事士や電子工作の学習を組み合わせれば補え、評価・テスト職を経て設計補助へ進む道筋を描けます。工場でどんな不良を見つけ、どう報告してきたかを語れると、品質の目を持つ評価担当として歓迎されます。
未経験から電気・電子設計になるには?
- 1
第二種電気工事士で基礎を証明する
電気系で最も定番の入口資格です。実技試験もあるため「電気の基礎が身についている」ことを客観的に示せ、学習中の段階でも面接での意思表示になります。年に複数回の受験機会がある点も計画を立てやすい理由です
- 2
評価・設計補助の業務から入る
いきなり回路設計者としての採用は少数派です。回路の評価・測定や配線図の修正など補助業務から入り、設計者の考え方を横で吸収するのが現実的な順序です。測定の意味を質問しながら進めると理解が定着します
- 3
電子工作で手を動かす
マイコンボードや電子工作キットで回路を組んだ経験は、面接で語れる具体的な実績になります。作ったものを写真やメモで残しておくと説得力が増し、動かなかった原因をどう調べたかも語れる材料になります
- 4
製品分野を絞って応募する
家電・車載・産業機器では求められる知識の色が異なります。興味を持てる分野に絞って企業研究をすると、志望動機の深さで差をつけられます。分野ごとに求められる安全基準の厳しさも違う点は押さえておきましょう
求人票はどこを見ればいい?
- 募集職種が「回路設計」か「評価・テスト」か「設計補助」か。未経験は後二者が入口で、応募条件の経験年数の書き方や「実務経験不問」の表記の有無からも見分けられます
- 扱う製品分野(家電・車載・産業機器・制御盤など)。分野で求められる知識の色が違うため、学びたい領域と合っているか、量産品か少量生産かまで確認しておきましょう
- 教育体制の記述。研修期間や資格取得支援の有無は育成前提かどうかの判断材料で、「先輩とペアで評価業務から」など具体性があると安心です。独り立ちまでの目安期間も聞きたい項目です
- 測定器・CADツール名の記載。オシロスコープや電気CADの名称が書かれていれば、入社後に身につくスキルを具体的に想像でき、次の転職で通用する経験かどうかも判断しやすくなります
収入・働き方の傾向は?
回路設計者は慢性的に不足しており、経験を積むほど長期の需要が見込める職種です。入口は評価・補助業務からが多いものの、設計まで進めば製品分野を越えて通用する専門性になります。電動化やIoTの流れで電子回路を載せる製品は増え続けているため、腰を据えて専門を深めたい人にとって、時間をかける価値のある領域と言えます。制御盤設計のように現場寄りの領域は電気工事や保全の経験がそのまま効くため、入口としても選びやすい分野です。評価から設計へ進む過程で身につく測定の技能自体にも需要があり、途中の段階でも市場価値が生まれる点は、長い育成期間を歩むうえでの安心材料になります。
賃金・労働時間などの公的な統計は、厚生労働省の職業情報提供サイトjob tag ↗で「電気・電子設計」を検索すると確認できます。
この先のキャリアパスは?
回路設計のプロへ。慢性的な人材不足で長期の需要が堅い。
電気・電子設計の求人イメージ
※実在の企業・求人ではなく、市場でよく見られる募集内容のサンプルです。
電気設計補助/制御盤メーカー
制御機器メーカー(従業員300名)
給与例月給23万〜29万円
勤務地例大阪
よくある質問
電気・電子設計に資格は必要ですか?
必須ではありませんが、未経験者は第二種電気工事士が定番の意思表示になります。実技試験を含むため「電気の基礎が手を動かして身についている」証明になるのが強みです。産業機器寄りの職場では電験(電気主任技術者)の学習も評価されますが、難関資格を取ってから応募する必要はなく、「学習中」と示しながら実務と並行で進めれば十分です。製品開発寄りの職場では、資格よりも電子工作で何を作ったかのほうが響く場面もあります。
電気工事士と電気・電子設計はどう違いますか?
電気工事士は建物や設備の配線を現場で施工する仕事、電気・電子設計は製品の回路を机上で考える仕事です。働く場所も、前者は建設現場、後者はオフィスや実験室と対照的です。扱う電気の性質も、工事は建物に流れる強い電力、電子設計は信号を担う弱い電気が中心という違いがあります。ただし両者は無関係ではなく、工事や保全の現場経験は「電気の実物を知っている」「施工しやすい図面がわかる」強みとして、制御盤設計や設計補助への転身で評価されます。
未経験から電気・電子設計になれますか?
なれますが、いきなり回路設計者としての採用は少なく、評価・テストや設計補助からの2段階が現実的です。技術系アウトソーシング企業の研修付き求人は未経験の入口として機能しており、数ヶ月の研修後に家電や車載の開発現場へ配属される流れが典型です。マイコンボードなど電子工作の経験を面接で具体的に語れると、書類・面接の通過率が変わります。制御盤や配線図を扱う産業機器分野は、現場経験者を受け入れる間口がとくに広い領域です。
電気・電子設計に向いていない人は?
目に見えない電気の理屈を学び続けるのが苦痛な人、地道な測定・検証の繰り返しに耐えられない人、他部署との連携を避けたい人には向きにくい仕事です。一つの不具合の原因を数日かけて追うこともあるため、粘り強さは欠かせません。とくに、条件によってしか現れない不具合を追う場面では、気長に条件を変えて試せるかが分かれ目になります。逆に「原因を突き止めるまで気になる」性分なら、その粘りが最大の適性であり、知識は後からでも積み上げられます。
電気・電子設計は何歳まで目指せますか?
求人での年齢制限は法律で原則禁止されており、応募に上限はありません。未経験育成枠は若手中心の傾向がある一方、電気工事や保全の実務経験者は30代・40代でも設計補助・制御盤設計への転身例があります。「どんな盤や配線を扱い、どんなトラブルをどう解決したか」といった現場経験の言語化ができるかどうかが、年齢よりも大きな分かれ目になります。扱った電圧や設備の種類まで具体的に書けると、面接での質問も深いところに入ります。
電気・電子設計の将来性はありますか?
あります。電動化・省エネ・IoTの流れで電子回路を載せる製品は増え続けており、回路を設計できる人材は慢性的に不足しています。自動車の電装化や工場設備のスマート化など、需要の裾野はむしろ広がっている状況です。AIによる設計支援が進んでも、要件から回路方式を決める判断や、実測をもとに評価を詰める仕事は人の役割として残る見通しです。部品の供給が滞ったときに代わりの部品を選び直す判断も、机上の計算だけでは決められない領域です。
電気・電子設計にプログラミングの知識は必要ですか?
回路設計そのものにプログラミングは必須ではありませんが、マイコンを載せた製品ではソフト担当と仕様をすり合わせる場面が多く、C言語の基礎を知っていると会話が早くなります。評価業務でも、測定データの集計や試験の自動化に表計算ソフトや簡単なスクリプトを使う職場が増えています。学んでおいて損はないものの、入口の選考でまず問われるのは電気の基礎知識のほうです。
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